悩まれる前にご相談下さい
一般に不登校児と呼ばれるお子さんをお持ちの保護者様やお子さんの障害を心配されている方々の中には代表的な病名やWEBからの検索等で間違った認識を持っておられる方がとても多いと現場に居て思います。まずは、沢山のケースがあることを知り、正しい認識を持つ事がとても重要だと考えます。ここでは幾つかの病名を挙げて説明致します。
沢山のケースから
ケース1 「起立性調節障害」
お子さんが学校に行けなくなってしまい、心配された保護者様がお子さんを連れて病院へ行った場合、障害の見つからない不登校児に於ける大半は上記の診断がつけられることが多いようです。不登校の理由はともかく、取りあえず病名がついて安心する保護者様もおられますが診断がついたからと言って、不登校が解決されるわけではありません。
診断が出た時点で生活習慣を変えて少しずつ学校に戻る準備をしましょう。上記の診断が出るお子さんには「神経質なお子さん、生真面目に頑張るお子さん」が多いのも特徴です。睡眠時間を細かくチェックする事も必要ですし、場合によってはカウンセリングを受けることで改善されます。
ケース2 「睡眠相後退症候群」
ケース1と類似してケース2の診断をつける場合があります。
こちらは成人の方であれば中高生の時期に一度は経験した事がある夏休みや冬休みなどの長期の休みに昼と夜が逆転してしまう状況です。夜遅くあるいは明け方までゲームをやって、次の日起きるのは「お昼休みはウッキウッキウォッチング♪」の頃ということです。
不登校=いじめと解釈される方もおられますが実際は、このケースの様にいじめもなく、ただ昼夜逆転が理由で「朝起きれない」「起こしても起きない」「起こすと怒る」「学校行くのが面倒くさい」になってしまい、不登校へと繋がってしまうケースも少なくありません。言うまでもなくこの場合は薬は必要ありません。
もっと簡単な言葉に直すと単なる「時差ぼけ」がご家庭内で起きている状況です。夜早く寝る事を心がけるより、朝早く「無理やりでも」起床させることにより、たちまち改善されます。上記の様なお子さんは海外留学(全寮制)を経験させることによって規則正しい生活や自立心が身に付くのは勿論の事、自分の将来についてもしっかりした考えを持つようになる場合も多いです。
ケース3 「注意欠陥/多動障害(ADHD)」
落ち着きがなく、注意力に乏しいのは、どのお子さんでも多少の差はあれど児童の特徴ですが、各お子さんの発達段階を考慮し、その程度が著しい場合に診断される障害です。基本的な症状として、不注意、多動性、衝動性の3つが取り上げられます。通常は小児期に始まり、基本的には終生変わらない傾向にあります。
また、本疾患の基本的症状から学習障害など、学業上の問題もよく認められます。治療法としては、薬物療法とペアレンツトレーニング、ソーシャルスキルトレーニングやカウンセリング、そして、構造化された環境設定による学校に通うことも効果が認められていますが、特に欧米の学校の方が顕著です。
ケース4 「心身症」
ケース1でも取り上げた起立性調節障害も含め、心身症とは体の病気のうち、心理的な要素が発病や経過に強く関わるものを集合的に呼ぶ言葉です。
そこには不登校児が症状として訴える沢山の病名が含まれています。
心身症の側面を伴う疾患として、「過敏性腸症候群、過換気症候群、気管支喘息」などが挙げられます。全く心理的な要素が認められない場合は通常の治療、心理的な要素が大きいとされる場合は治療と平行してカウンセリングなどを行います。