不登校の理由「学校に行きたいのに行けなくなってしまう」
お子さんがそのような状態になるには必ずご家庭で何らかの症状がサインとして現れます。その症状は小学校であれば小学校3年生くらいから、中学生の場合は1年生~3年生の全学年で現れます。小学校3,4年生の場合は自分の感情や学校内での人間関係の悩み、苛めなどについて上手く御自身から親御さんへ説明をする事がまだまだ難しい年齢です。
そのストレスから、身体的な症状を訴えます。多い症例としては「腹痛」「頭痛」「発熱」ですが、それらの症状は決して嘘ではなく本当に御自身にとっては辛いのです。このような時、親御さんはお子さんを病院へ連れて行くのですが臨床的には何も異常は認められない為、最終的には心療内科への通院を薦められる場合、または、保護者様が「子供が学校をサボりたいから嘘をついてる」と、あの手この手で学校へ行かせようとする場合、または保護者様が「もしかしたら何か障害があるのかも?」と考え適切な検査を受けさせる場合が殆どです。
この学年では「行きたいけど、行けない」と言うよりはただ素直に「行きたくない」のです。そしてその要因は御家族内にある場合や、「一生懸命、勉強してるのにできない、からかわれる」といった場合から友人関係がなぜかうまく保てない場合など多種多様です。何れの場合もお子さんのサインが現れた時点で適切な検査を受けることによって、仮に障害が認められれば、障害を前提とした進路を考えるチャンスですし、検査結果に何らの著しさが認められない場合、原因は心因性ですから、その原因を保護者様が客観的に見据える事によって、冷静に各分野の専門家と協力しながらお子さんの進路を選択することが事が出来るのです。お子さんが学校に行けないサインを見逃さないことが、この時期では一番大事ですし、その後の進路にも繋がります。それでは学年別に不登校の主な理由について述べたいと思います。
小学生.低学年の場合の不登校
小学校に入学したてのお子さんは小学校という新しい環境の中でワクワク感を強く感じるお子さんもいれば新しい環境や幼稚園の時の様な送り迎えが無くなるがゆえの不安感を共存しています。1年生は「不安感」が強い傾向にあるお子さんは「お母さんと一緒に登校」など良く見られますし、虐めや勉学の困難さも顕著には現れません。ですが幼稚園の延長として小学校という集団生活をとらえ、またその変化に対応できないお子さんはお子さんが長期にわたり小学校という環境の変化に適応できない場合は不登校というよりは登校拒否に近く、またその期間も短い傾向にあります。男の子に多いかと思います。
小学生.中学年の場合の不登校
友人関係のもつれや、教科が増えることによっての負荷や履修内容が小学校低学年の時とは違います。一般に「9歳の壁」といわれる学年です。この頃になると表現方法はまだ乏しいのは確かですが保護者様(特にお母様)に「学校に行きたくない」と言い始めるお子さんが多いように思います。前述の様に身体にも影響を及ぼす時期です。中学受験を考慮にされている方は4年生から入塾される方が多いと思います。発達が遅いお子さんによってはご本人の周囲で何が起きてるか理解できず勉学に対しての拒否反応や登校拒否から不登校につながってしまう時期でもあるでしょう。
小学生.高学年の場合の不登校
小学校生活の中で一番「不登校」になってしまう時期です。そしてWISC検査もこの時期に行われることが圧倒的に多い現実があります。検査結果として不登校の理由は心因性のものなのか、学習障害があるのか、もしくは発達障害が認められるのもこの時期です。虐めの内容もひどくなると中学生のそれと余り変わらないケースもあります。他の心因性によるものとして近年良く認められるのが中学受験に向けての保護者の方からの過度なプレッシャーによるケースもあります。お子さんに自我がまだ生まれないため過剰とも思える受験勉強に耐えられなくなり塾を止めるだけならともかく、肝心な小学校も不登校となってしまいます。
中学生全般の不登校に共通しているのは、一つに上記の様なサインを見逃す、もしくは差別的に見られることを恐れ障害を認めたくないが故に何もなされないままになってしまうということです。要因としてはインターネットによる苛め、友人関係の縺れや、親御さんが理想としている進路と現実の乖離が激しすぎることに加え思春期であることから親子関係が上手く行かないなどがあります。この時期における不登校や登校拒否などは小学校時代に比べるとお子さん自身に自我があるため中々簡単には解決出来ません。