その他の障害
LD/学習障害やADD/ADHD注意欠陥障害,注意欠陥多動障害などは現在は一昔前とちがい比較的情報も得られるようになりました。ですが、日々沢山のお子さんの臨床検査をおこなっている(社)加藤永江教育研究所には前述の様なLD傾向もしくはADD/ADHD傾向,もしくは、LD/ADD/ADHD全ての併発が認められるお子さんと比例して下記の様な特徴をもつお子さんも多々おみえになります。
自閉スペクトラム症
最近までは「アスペルガー症候群」として皆さんも名前は聞いた事はあるのではないかと思います。社会人になると顕著に使われる言葉です。「あの人空気が読めない」「アスペだから」といった具合にです。現在ではアスペルガー症候群は自閉スペクトラム症として扱います。
スペクトラムとは、その名前の通り「連続体」という意味で単一の障害ではなく様々な事が密接に関係する一連の障害ですが核となる共通の特徴が認められます。個人差はありますが,主に社会的技能,感情移入,コミュニケーション,柔軟な行動に問題を抱えています。実際に同じ診断を下されたお子さんが2人いてもその行動や能力は大きく異なっているようにみえます。
以前は「アスペルガー」「高機能自閉症」など,その用語は多岐にわたり使用されていましたが,現在ではこのような特徴をもつお子さんを総括して自閉スペクトラム症と1つの用語にまとめて使うようになりました。理由としては用語は違っていても,対象とされるお子さんの特徴に大差はなく,用語を増やしたところで保護者様を混乱させてしまうからだとも言われています。
皆さんの周辺に実は沢山存在するのが自閉スペクトラム症児です。
人が「自閉症」という用語を使うときは二つのうちの何れかを意味する可能性があります。一つは「自閉症障害」(古典的自閉症)、もう一つは自閉スペクトラム症です。とても類似している用語ですので戸惑ってしまいます。それでは,お子さんは、どのタイプの自閉スペクトラムなのでしょう?
自閉スペクトラムに関しては多くの症状が共通して認められますが、その重症度と影響は大きく異なります。古典的自閉症(自閉症障害)が自閉スペクトラム症の中では最も重度です。症状が軽いのは時に高機能自閉症と呼ばれていたり、アスペルガーと呼ばれている児童です。米国の自閉スペクトラム症資料センターによれば自閉スペクトラムを認めるお子さんのうち古典的自閉症を抱えるお子さんは20%に過ぎません。圧倒的多数が軽度の自閉スペクトラム症のお子さんです。
実際に(社)加藤永江教育研究所にお越しになりWISC検査を受けられた結果からASD(自閉スペクトラム症)の特徴がグラフに表れるお子さんを自閉スペクトラム症と判断するケースは数多くあります。
学年ですと、小学校中学年~中学性が圧倒的に多く逆説的になりますが、軽度の自閉スペクトラム症は就学時前検診でも見過ごされるくらい「ふつう」です。ですが発育年齢が上がっていけばいくほど「何か」に支障が表出し始め(社)加藤永江教育研究所に訪れる御家族が多いのだと思います。自閉スペクトラム児であっても中学受験の為に猛勉強に励んでるお子さんもおられますし,周囲から浮いた存在であって、勉強もしないのに進学校に合格するお子さんもいます。一方で,そのお子さんがもつ過敏性から友人関係が上手く行かずいきなり登校拒否や不登校になってしまう場合もあります。軽度の自閉スペクトラム症児童の知能水準も低いものではありません。
また、日本と違い自閉スペクトラム児に対する考えや受け入れ、環境、教育などイギリスやスイスは体制が整っています。御家族のご事情が合えば躊躇することなくイギリス留学やスイス留学を経験させることを推奨します。生まれ持った個性と好奇心を発揮してくれるでしょう。
高機能自閉症の誤解
(社)加藤永江教育研究所には既に他の機関にて検査を受けられた御家族も「高機能自閉症」と診断、もしくは判断され来所されます。今では余りにも誤解が多すぎる用語の為に使われることは少なくなったとは思いますが高機能自閉症の「高機能」という用語に対する誤解が多いと思います。検査された場所で的確な説明を受けられなかったのが主な理由だと考えますが高機能自閉症の定義は,あくまでも検査から得られた知能水準が(全検査、つまりIQ)が平均より高いから「高機能」ではなく知的障害、もしくはその境界線の85以下ではないという解釈を定義としています。
そういった誤解から始まる面談は、なかなか前へと進みません。ちなみにWISC検査における知能」水準の平均は100としています。そして全就学児のおよそ8割の知能水準は85~115と理論上統計付けされています。重要なのは知能水準の高低ではなく、その8割の水準の範囲に位置づけされるお子さんの各検査項目のバラつきです。
どの障害に於いても同じ事がいえますが「軽度」だから良いというのではありません。またお子さんが悪いわけでも保護者様が悪いわけでもありません。「軽度と言われた、でもどうしよう!?」と悶々と悩まれている保護者様が殆どだと思います。理由は一つです。「とってもふつうの子にしか見えない、見られない、理解されない」ある意味その通りだと考えます。「ふつう、ちょっと変わってる。。。」それで良いのです。ですが「工夫」は大事です。その工夫を(社)加藤永江教育研究所は指導します。そして大事な将来の進路を一緒に考え行動に移していける立場でいたいと願うのです。
認めたくないけど大事なこと
様々なお悩みを抱える保護者様からメールやお電話にて日々ご相談を受けています。皆さんのご苦労・ご心労は痛いほど解りますので具体的なお話を出来るだけ聴取しアドバイスを差し上げる努力を続けてます。保護者様のおよそ9割は「学習障害ではないでしょうか」とご心配されます。WISC検査をまだ受けていない、もしくは受けてからかなり月日が経ってるお子さんには(社)加藤永江教育研究所にて検査を受けて頂きます。そして検査結果報告をさせていただくのですがお子さんによっては勉学や行動が思わしくない理由に「軽度、中度の知的障害」(精神遅滞)、もしくはその境界線の為と判断する場合があります。
自閉スペクトラム傾向や、学習障害/LD傾向やADD/ADHD傾向であっても知能水準が境界知能であったり、精神遅滞の場合は対象とされるお子さんの理解力には限度が生じる為にやはり知能の低さはハンデと言わざるを得ません。前述の様々な特徴や障害は「知能水準は平均にある」のが前提です。そのような場合も、もちろん親身に進路相談を受け適切なアドバイスを行う機関でありたいと思います。