ADD/ADHDのお子さんが充実した生活を送るために。。。
ADD/ADHD障害を持つ児童は現在では全就学児に於ける相対的な確率で約5%~6%と言われています。そしてADD/ADHDと認められる児童の8割は知能水準の低さを認めるものではなく、平均水準であることも特徴の一つです。
ですが、例えば知能指数の数値そのものが多少低くても、勉学や日々の生活、また友人関係に於いて良好であるお子さんに対しADD/ADHDを抱えているお子さんは前述の何れか、もしくは全ての面に於いて何らかの支障をきたします。
ADD/ADHD児と学校生活
ADD/ADHD児が抱える1番の問題として生じるのは集団での生活(学校生活)です。日本語ではADDのことは注意欠陥障害と言いADHDのことを注意欠陥多動障害といいます。
何れの場合も特に未就学児童に於いては御家庭内で保護者様だけではなかなか判断できないことも多く、その多くは学校生活という集団行動が生じた時に学校から指摘を受ける、もしくは他のお子さんと比べることによって保護者様が気付き、自らお子さんに検査を受けさせるか、学校からのアドバイスに従って検査を受ける事により発見される場合が殆どです。
学校という環境はADD/ADHDを抱えるお子さんにとっては時として辛い場所となってしまいます。
教室内ではADD/ADHD児にとって最も苦手とすること、すなわち先生の話や授業を大人しく聞くこと、椅子に座っていること、そして集中をすることが1日を通じて求められるからです。
ですが、ADD/ADHDのお子さんも、そうでないお子さん達の様に学習したり行動したいと思っています。「したいと思ってるのにできない」。この様に歯車が合わないため段々と苛立ちも目立ってきます。低学年児童に於いてはADD(注意欠陥、もしくは多動)が目立つのに比べ高学年になってくるに伴い衝動が目立つようになるのは、この様な理由からです。
ADD/ADHD児に於いて通常の方法では上手く学習できないのは、やる気がない為ではなく神経学的な問題があると考えられています。
したがって、ADD/ADHD児が学習面や集団生活を円滑に過ごす為には保護者様と学校間との連携が不可欠となるでしょう。
各々のお子さんの特徴を見極め、そのお子さんに適した学習法と工夫によってADD/ADHDのお子さんの能力は充分に発揮することができるでしょう。
その為にも担任の先生やスクールカウンセラーとは定期的に話し合いの場を作りましょう。
お子さんの生い立ちを1番ご存知なのは保護者様です。ですが学校内での行動や、毎日の生活を把握しているのは教師です。情報の共有はADD/ADHD児の保護者様にとっては重要なことです。
ADD/ADHD児の症状は様々です。同じADD/ADHD児でも教室内での行動は児童によって異なります。
教室で興奮する児童もいますし、空想にふけっているお子さん、規則を守らないだけの児童もおり、そのタイプは多種多様です。
ADD/ADHD児への具体的な対処法
集中力の欠如
ADD/ADHDのお子さんは音や通行人、自分の空想などによって注意が散漫となり重要な話を聞き逃すことがよくあります。
要約すると忍耐を要する事柄に対して苦手意識を持ちます。
話を聞いているように見えていても、気をそらすものがあると注意がそちらに向いてしまいます。
注意をなるべく集中させるためには物理的な環境に配慮し、動きを束縛しない、長い作業は細かく分けてあげることによって改善は見られるでしょう。
お子さんが勉強を行う席や場所は、なるべく窓やドアから離れた場所にするほうが良いでしょう。学校であれば担任の先生に協力をして頂くことも必要ですし、御自宅でもしペットなどを飼ってる場合は勉強をする時はペットは別の部屋などに移してあげてください。
また、椅子に座って行う作業と部屋の中を動き回って良い活動とを交互に行う事によって集中力の散漫が避けられるでしょう。
御自宅での学習法として有効な方法の1つとしては身体的な動きを取り入れることです。
(暗記の場合)
重要な事は紙に書き出し、お子さんがそれをいつでも見られる様にしましょう。
課題は発達年齢によって違いますが大きな課題は小分けにしてあげます。
どのくらい集中が続くのか、もしくは続かないのかはお子さんによって違います。
したがって、各お子さんの集中力の持続時間(分)に合わせて課題を小分けしてあげることにより、お子さんは与えられた課題を達成することができます。
その達成感こそが自己肯定へと繋がり、お子さんのやる気を引き出します。
話に割り込む
ADD/ADHDのお子さんは多弁である場合が多いのも特徴です。
家でも学校でも、他の人の話をさえぎり不意に話し出すお子さんもいます。
これは「衝動性」の一部分です。このような行動は時には攻撃的とも見られてしまい場合によっては無作法な印象を与え、学校では問題になってしまう事もあります。
このような行動を学校や保護者様がADD/ADHD児の特徴の1つとして捉えておくことは非常に大事なことです。
不適切なタイミングで話を始める衝動を抑えるには、お子さんの自尊心を傷つけないように配慮をしてあげることも必要です。
特に他人がいる場合は気をつけてあげましょう。対処法としては保護者様とお子さんの間で「秘密の合図」などを作っても良いかも知れません。
お子さんと保護者様にしか分からない合図を予め作っておき、注意したい時にはその「合図」を使うようにします。お子さんが「秘密の合図」を達成できたら褒めてあげるのです。
ADD/ADHD 衝動性
ADD/ADHDのお子さん達は、よく考えずに行動を起こすことがあります。
したがって、学校内だけではなく社会的な場面でも困難を生じる場合があります。
学校内では「手に負えない」といった印象を持たれてしまいます。
衝動性を抑えるためにはSST(ソーシャルスキルトレーニング)なども有効性が認められていますがご家庭内では、行動計画を立てる、そして計画が実行できなかった場合は時間を置かずに制する、またお子さんに自己コントロール感を持たせるなど、様々な対応の仕方があるでしょう。
具体的には、まず保護者様が行動計画を紙に書き出し、お子さんがいつでも見られる様にしてあげて下さい。壁や机に張っても良いでしょう。
何か問題が生じたらすぐに注意をしましょう。そして何がいけなかったのかを「具体的」に説明し、お子さん自身が「何がいけなかったのか」を理解できるようにします。
また、計画通りに目的が達成できたら大袈裟なくらい褒めてあげ、「具体的」に「何が」達成できたのかを理解させましょう。小さい事柄を継続性をもって達成させることによって、自然とお子さん自身が「何をすべきかを理解」し落ち着きが見られる様になるでしょう。
ADD/ADHD 落ち着きのなさと多動性
ADD/ADHD児は、もぞもぞしている動作が良く見られ、じっと椅子に座っていることが難しいように見えます。
教室内で飛び跳ねたり、蹴飛ばしたり、身体を捻ったり、そわそわするのでクラス内では
目立ちますし、教室内での授業に於いて教師やクラスメートにも影響を及ぼしてしまう場合があります。
多動を認めるお子さんは例外なくエネルギッシュな側面を持っています。
逆説的な例を挙げるとすれば、教室内で静かに授業を受けさせる為に身体を動かせます。
可能であれば登校前に運動をさせたり、教師と連携して「鉛筆を削る」等、手伝いをさせます。
小さなことですが、じっと座っていられないお子さんにとって、このような作業は多動性を認めるお子さんにとっては「自由に動ける時間」となり椅子に座っていられる時間も長くなります。
ADD/ADHD児にとって、休み時間の解放(動ける時間)や体育はとても重要な時間です。
貴重な時間ですから大事にしてあげましょう。
指示に従えない
指示に従えないことは、ADD/ADHD児の顕著な特徴です。
お子さん達は指示を理解しているように見え、書き出すことさえできるのですが指示通りに行動することができないのです。
例えば宿題や与えられた課題に於いても、途中の過程を飛ばして中途半端な形で提出することもありますし、宿題の内容を理解しないまま、全く違うことをしてくる
ことも見受けられます。
上述した問題を解決するには指示を細かく小分けして、それぞれのステップを確認し、必要であれば軌道修正をしてあげましょう。
指示は細かく行い、お子さんが1つずつ段階を踏んで、1つの作業が終わったら終わった作業を確認してから次の作業に移るようにします。
指示から逸れた場合には注意をうながし、口調は静かでも、しっかりとした口調で軌道を修正します。
有効性が認められるのは色分けして具体的に指示をだすことです。
ADD/ADHD児が学習を楽しむためのヒント
お子さんの注意を学習に集中させる方法の一つとして学習を楽しいものにしてあげるのも方法の一つです。ご家庭内の学習では無味乾燥な事実を面白い雑学に結び付ける、授業内容を歌にして記憶を定着させるなどの工夫はADD/ADHD児に限ったことではなく、学習を楽しいものにしますし、ADD/ADHD児にとっては症状を和らげる役に立つことも
あります。
特に注意欠陥障害のお子さんは「具体的」に考える傾向があります。
新しいことを学ぶとき、何かをつかんだり、触ったり、具体的に経験することを通して学ぶことを好みます。
例えば算数などはゲームや具体的なもので数学的な概念を示すことにより、お子さんは算数の意味や楽しさが分かるようになります。
メモリーカードや、サイコロ、ドミノでも良いと思います。数を楽しく学ばせましょう。
低学年児は手や足を使い、足し算や引き算を教えることも良いでしょう。
文章題については、「絵」を書かせましょう。イラストで示すと数学的な概念を良く理解させることができます。
例を挙げるとすれば「車が12台あります」と書かれていたらハンドルからタイヤまで具体的に絵を書かせましょう。
読書を苦手とするお子さんも多いかと思います。
ですが読書の楽しさはご家庭内で一番、困難を感じることなく保護者様が工夫できると考えます。
最も基本的なこととして、読書とは面白い話を聞くことだという事を念頭に置いて下さい。
どんなお子さんでも面白い話は大好きです。
お子さんと一緒に本を読み、読書という時間を共有しましょう。
物語を読みながら「これからどうなると思う?」と予想させても良いでしょう。
例えば「この話の女の子はすごく勇敢みたいね。きっと家族を助けようとするんじゃないかしら?」などと話しかけてみてください。
知識を吸収しやすい形で提供してあげることによって、学習は楽しいこととして経験されます。
薬剤療法について
現在日本でも主にADD/ADHDと診断された児童に対して薬剤療法も考慮の1つに挙げられます。
(社)加藤永江教育研究所内でも、これまでに沢山のADD/ADHD児のお子さんを発達障害の理解と対応としては顕著に先進国である欧米諸国への進学を推奨し、実施しております。生徒さんの中には薬剤を服用されてるお子さんもいます。
お薬を決して否定するわけではありませんが、保護者様が薬物療法をあまり理解されていないうちに、お子さんに薬剤の投与を始めてしまうのは良くありません。
薬物療法は症状を抑えることはできますが、ADD/ADHD自体を治す薬ではなく、どの薬も同様ですが、お子さんによっては強い副作用も認められます。
したがって、医師の薦めるままに薬物療法を始めるのではなく保護者様がメリット、デメリットを良く理解をした上で決めることを強く述べたいと思います。
最後に…診断の大切さ
どの保護者様にとっても、お子さんはかけがえのない宝物です。
そして、その宝物が予想していなかった障害があったと想像するだけでどの保護者様も混乱し困惑し検査の結果を認めたくないお気持ちも良く理解出来ます。
ですが、一番辛いのは「お子さん」です。
楽しんで学び、お友達と遊び、健全な友人関係を築き、将来は自立をして欲しいと願うのは、どの保護者様でも同じです。
そう考えると尚更お子さんの現状を把握しなければいけません。
ADD/ADHDは学習障害/LDと併発しているケースも多く認められます。
(社)加藤永江教育研究所は、皆様のお子さんの悩みの影の応援者となり個性あるお子さんの未来を育む海外留学を推奨している民間機関です。
ご相談下さい。大丈夫です….